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『海街diary』


綾瀬はるか、長澤まさみらが4姉妹に 映画『海街diary』予告編 - YouTube

 

私は、いわゆる日本のテレビ屋が作る映画が大嫌いです。

何が嫌いかって、まず「お涙頂戴」的お約束展開が多すぎること。

それと「映画監督ってこんな誰でもなれるんだなー」な人が多いこと。

そのくせ、アメリカや韓国の映画とは予算が云々、文化が云々言い訳する。

 

これもフジテレビが関わっていると聞いて嫌な予感がしていたんですが

「私もこの家で一緒に暮らしたい!」

と思いました。

 

とはいえ、あれこれ論じるのが難しい作品なんですよねえ。

四姉妹を演じた四人はもちろん、脇役のリリーフランキー風吹ジュン大竹しのぶに至るまで出演陣の演技は素晴らしかった。

日本の自然風景を描写した画面作りも美しかった。

ただストーリー的には地味で、大きなマイナスも無いかわりに大きなプラスも無い作品というか。

 

一つ見ながら感じたのは「これが邦画の生き残っていく道なのかもしれない」ということ。

 

例えば作品中何度か「クスッ」と笑えるシーンが出てくるんですが、それが如何にもという笑いではなく、自然な会話のやり取りや間が笑える。

これは一人一人のキャラクターを丁寧に描写しているからこそ成り立つことだと思うし、現場の一体感というか雰囲気も良かったんだろうなあと思えました。

 

この映画の影の主人公は亡くなった父なんですが、四姉妹もまたその母も、自分達を振り回した父の事を苦々しく思いつつも、心の底では家族みんなで過ごした日々を懐かしく感じている(厳密には三女の千佳は父を覚えていない事になってるけど)

 その父の存在感を、安易な回顧シーンに頼る事無く、登場人物達の会話やちょっとした行動で観客にも具体的にイメージさせる。

このあたりの手法は見事だったし、これも丁寧に作りこんでいるから成立するんですよね。

 

アクションシーンがある訳でもないし、CGを多用しているわけでもない。

でも誰にでも有り得る日常を、登場人物の日々の成長や心境の変化、そして生命の儚さという要素を交えながら、一つ一つ丁寧に描写していった結果、とても心温まる作品になっていると思います。

 

マッドマックスは確かに素晴らしく興奮したし何度も見返したい作品。

でもいつかこの作品を見返す時には、懐かしさで胸がいっぱいになるでしょう。

 

派手ではないけれど忘れがたく、とても愛おしく思える一本。

それが『海街diary』なのだと思います。