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『S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』

映画


『S-最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』予告 ...

 

あらすじ

既存のSATとSIT双方の特徴を併せ持ち、NPSこと警察庁特殊急襲捜査班が3番目の“S”として新たに設立される。生死を問わず犯人を制圧する方法ではなく、生かしたまま身柄を確保するというポリシーを掲げた彼らの存在は世間の注目の的だった。そんなある日、何者かによる立てこもり事件が起こり、NPSの神御蔵一號(向井理)らは現場に駆け付ける。さらに太平洋沖にて輸送船が乗っ取られる事件まで発生し……。

 

 

 

20点

 

 

 

(戯言に近いまえがき)

今年は映画好きにとってはたまらない年だと思うんです。ハリウッド超大作の「アベンジャーズ」「ジュラシック・ワールド」「ミッション・インポッシブル」はもれなく面白かったし(ターミネーターは残念だったけど)、「インサイドヘッド」ではピクサーの本気を見たし、更に冬には「007」と「スターウォーズ」も控えています。この2作の出来次第では、2015年は映画史に残る年になる可能性もあると思うのです。

ただその一方で、邦画が舶来の超大作に負けてばかりなのは残念な思いもあって。事実「海街diary」のように上記の超大作とは違った方向性でも文句なしの名作と言える一本もあるわけでね。やっぱり日本人としては、邦画から「見て良かった」と心から思える作品が一本でも多く出てきてほしいわけです。

そんな複雑な思いと少しの期待を抱きつつ、映画サイトなどでもそれなりに高評価だったこの作品を見に行ったのですが、原作ファンやこの作品ファンの方はごめんなさい。

私には全く良さが分からなかったです

 

 

序盤で著しく興味をそがれたシーンが2つ。

 

1つ目はNPSの訓練を描いたオープニングシーン

このシーンってね、観ている側に「彼らが日本を守るために日ごろ如何にハードな訓練を重ねているか」という事を伝えないといけない訳じゃないですか。それなのに肝心のアクションがショボい上に、カメラもちょこちょこちょこちょこ動き回って見難い事この上ない。おまけにアクションだけでは不安だったのか、字幕や音声でも彼らの役割をご丁寧に説明してくれるわけです。いやいや、お前らアクションなめてんのか。このシーンだけでかなりゲンナリさせられました。

 

2つ目は無駄なポテチ描写

序盤で、物語の核となる「巨大輸送船の乗っ取り」と並行して「小学生達を乗せたバスジャック」が起こるわけです。その子供達の中に、倉田(青木崇高)の息子がいて更に特殊部隊突入の際に林イルマ(新垣結衣)に誤って胸を撃たれてしまう。で、業務に支障が出るだの陸へ帰れだの周囲から心配されるわけです。本人も奥さん(?)相手の電話で取り乱していたし。

そいつがですよ、いざ輸送船突入が決まり2つの部隊がいがみ合っている時にポテチ食いながら登場するわけです。これは原作にもある設定らしいんですが、目を疑いましたよ。その後、船の上で林と鉢合わせし、そこで謝罪する林に対して尤もらしい講釈を垂れるんですが、いやお前さっきアホ面でポテチ食ってたよね?

もうこの時点で真面目に見るのが真剣に馬鹿らしくなりました。

 

 

その他も酷い。

まず目に余るのが、登場人物の心境や物事の状況をいちいちいちいちいちいち台詞で説明すること。本当に鈍重でお粗末な演出だと思いました。おまけに悔しいときは「チクショー」と叫ぶし、命が危うい状況の時はその人の名を連呼するだけだし。何にも考えていない安直な演出だとしか思えない。

 

メインであるはずの巨大輸送船のシーンもはあ?の連続。まず、人質であったバスジャック事件がとっくに解決しているんだから、政府側は強気に出て然るべきでしょ。なのに犯人の要求も確認せずに閣僚が15人も人質になるとか有り得ますか?しかも「1人につき身代金2億円」とか言われてのこのこ用意した上で捕まりにいくとか、お前らみたいなアホは全員殺されても文句言えないわ、と。

そもそも、身代金って人質と交換するから出す側にも意味があるんですよね。あの1人につき2億円は要求する側にも要求される側にも何の意味があるんですかね。

 

犯人たちの描き方もよくわからなかったです。

正木(オダギリジョー)はまだ良いとしましょう(誰もいないショッピングモールを闊歩しているのに特殊部隊はじめ誰も手出しが出来ないというのは到底納得できないけど)。彼に仕えている傭兵軍団みたいな連中は何の動機があるんですかね?

正木と同じく日本政府に恨みを抱いているなら、その動機なり正木との一体感をもっと描くべきだし、単に金目当てで雇われているとするなら、人質に手を出して暴走するなんて有り得ないでしょ。大体彼らはどうやって逃げるつもりだったんですか?みんな正木と一緒に自爆しても良いと思ってたんですかね?そんな覚悟のある連中には見えませんでしたけど。

 

 

その他にも輸送船のシーンは本当に突っ込みどころ満載。

「負傷者はヘリでさっさと輸送しないの?」とか「操舵室を鎮圧したなら進路変更して日本から少しでも遠ざけないの?」とか「首都圏が壊滅するかもしれない非常時なのに投入される人員少なすぎじゃないの?」とか、もうキリがないんですよ。

クライマックスのアクションシーンも、臨場感を出すためなのか小刻みにカメラが揺れてて、危うく映画酔いするところでしたよ。カメラが揺れるといえば、途中船の上のシーンで波の動きに合わせて(いるつもり)カメラがゆったり上下するシーンもありましたよね。あれも、どうしようもなくダサい演出だと思いました。

クライマックスもオープニングも、そういうつまらない演出で誤魔化すよりも、肝心のアクションをしっかり見せるべきじゃないんですか。演出の問題なのか俳優陣の力量の問題なのか知りませんけど、ほんとアクション映画を舐めた映画だと思いましたよ。

 

 

とにかくこの映画、全編通してつまらないというより不快なんですよ。ストーリーの杜撰さ、ワンパターンな演出、キャラクターの描き込み不足、アクションシーンの甘さとね、こんなのテレビ屋映画じゃなければ絶対に誰も出資しないだろうというクオリティの低さ。でね、恐らく作り手もそれを分かってるんですよ。作品の出来に関係なく、テレビ局がバックについていて、始めから全国公開される事も決まっている。

だからこういう志の低い、甘えの詰まった映画が堂々と作れるんでしょう。

 

 

まあ映画の好みなんて人それぞれだし、原作や出演陣に思い入れのある人はこれで満足できるんですかね。映画サイトでもそこそこ高評価ですし。

個人的に今年劇場で見たワーストは「96時間レクイエム」だったんですが、これはぶっちぎりでワースト更新ですね。

お金と時間を返してほしいです