『キングスマン』

 


映画『キングスマン』予告編 - YouTube

 

あらすじ

ロンドンにある高級スーツ店「キングスマン」は、実はいかなる国の干渉も受けない屈指のエリートスパイ集団だった。ブリティッシュスーツを小粋に着こなす紳士ハリー(コリン・ファース)もその一人で、日々極秘任務の遂行に務めていた。そんなある日、仲間が何者かに暗殺され、彼は街で不良少年エグジー(タロン・エガートン)をスカウトする。

 

 

 

85点

 

 

 

「エグジーって清宮君に似てるよね!」と思いましたよ。 

 

 

備忘録的にあらすじを纏めておきますと、アルゼンチンでのミッションの際に仲間を失い1人人員補充が必要になった「キングスマン」達は、各々の推薦する人間をスカウトしてくる事になるキングスマンの1人ハリーは、警察沙汰を起こし助けを求めていた元同僚の息子・エグジーからの電話を受け彼を迎えにいくそのままエグジーはスカウトされ他の仲間達と共に厳しいトレーニングを積むが、ラストミッションに失敗し一度は家に帰されるアメリカでの潜入捜査に失敗しハリーはヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)に射殺される、それを目の当たりにしたエグジーは自分も力になりたいと「キングスマン」本部に乗り込むそこで「キングスマン」のトップ、アーサー(マイケル・ケイン)が実はヴァレンタインの味方である事に気づく自分に盛られた毒をアーサーに飲ませ危機を回避、マーリン(マーク・ストロング)とロキシー(ソフィー・クックソン)と共にヴァレンタインの企みを阻止するべく敵のアジトに乗り込む

と、超ざっくりまとめるとこんな感じ。

 

 

「イギリスが舞台のスパイ物」と言うと、どうしても「007」との比較になってしまうと思うのですが、あちらのシリーズはダニエル・クレイグ登板以降シリアス方向に舵を切っていますよね。更に「スカイフォール」でサム・メンデスがメガホンをとってからは画的な洗練さも加わり、大人向けの色合いが強くなっていると思います。

更に「007」はシリーズ通してのファンが世界中に数多いて、今更ジェームズ・ボンドがどうだ、MI6がどうだと説明しなくてもお話を始められるという有利さがありますよね。それに比べると今作はより万人受けする、広く受け入れられるエンターテイメントに仕上げる必要があった訳ですが、文句なしに高いレベルでクリアしていたと思います。「キック・アス」を見た時と同様、「マシュー・ヴォーンはバランス感覚の優れた人だなあ」と感心しましたよ。

 

 

この作品、オープニングから無駄なシーンが殆ど無いんですよ。キングスマンのアジトや武器となる仕掛けの数々、エグジー達がキングスマンになるべく課題に挑んでいくシーンは全て面白かったし、それ以外の何気ない1つ1つのシーンや登場人物たちの台詞、仕掛け等に伏線となるものが散りばめられてあって、きっちりそれらを回収してくれるという、王道だけどクオリティの高い作品だと思いました。

 

 

この監督は残虐シーンの描き方がとても上手ですよね。中盤に登場する「教会全滅シーン」とかクライマックスでの「チップ埋め込まれた人全滅シーン」とか、本来行われている事は残虐極まりないのですがその痛みを観客に感じさせないというか。特に教会のシーンはアクションの見せ方が上手なんですよね。だから観客の我々もハリーと同様「あれ、気づいたらみんな死んでる」感を味わえるのだと思います。

チップを埋め込まれた「自分達だけかわいい、貧しくて愚かな民衆達はどうなってもいい」政治家達が全滅シーンも凄まじく溜飲が下がったというか。あそこに集まっている連中は見る限り白人ばかりでしたけど、誰のための政策なの?と言いたくなる事ばかりしている日本の政治家連中だって他人事じゃないと思うんですよね。音楽の使い方も相まって、あのシーンはほんと笑いました。

 

 

敵役の描写も素敵でした。何といっても魅力的だったのがガゼル(ソフィア・ブテラ)。アルゼンチンでのシーン、ミッション完了かと思いきやいきなりキングスマンの1人を真っ二つに切り裂いた登場から始まり、クライマックスのエグジーとのタイマンシーンまで「最強すぎる彼女をどうやって倒すのか」というのが物語の大きな推進力の1つになっていましたよね。最後はエグジーが、彼女の武器でもある「脚」を使って倒すという終わり方も、亡きハリーへのオマージュも含めて「なるほどそう来たか~」と小膝叩いてにっこり笑いましたよ。

 

 

数少ない不満点といえば、いまどき環境がどうの人口がどうの言う人間にあれだけ多くの人が洗脳されるってのは現実問題としてどうなのよ?という事だったり、いくらなんでもエグジーは短期間で無敵になりすぎじゃないの?という事だったりあえて挙げればありますがね。でもそれ以上に、楽しい場面が目白押しで些細な点は殆ど気にならなかったです、個人的には。

 

 

それにしてもこの作品がR15+指定っていうのはどうなんでしょう。残虐なシーンがあるから?それとも最後にケツが出てくるから?私には全く理由が理解できませんでしたよ。いまどきあの程度で残虐だのケツだの言ってたって、ネットで何でも見られる時代ですよ。貧困の連鎖とか格差の固定が問題になっている時代だからこそ、エグジーと似たような環境に置かれている子供達がこの映画を見て生きる勇気や希望を感じるんじゃないかと思いますけどね。

 

 

ちなみにこの映画に対する町山智浩さんの解説が凄くタメになるので、これから見に行かれる人は聞いてから行くともっと楽しめると思いますよ。(Y○utubeにあるよ)