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『ミケランジェロ・プロジェクト』

映画

映画『ミケランジェロ・プロジェクト』予告編 - YouTube

 

あらすじ

ナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーの命を受け、ドイツ軍は侵攻した欧州各国の美術品を略奪。それに強い危機感を抱くハーバード大学付属美術館の館長ストークス(ジョージ・クルーニー)はルーズベルト大統領を説得し、美術品や歴史的建造物を保護する部隊モニュメンツ・メンを結成する。中世美術に精通したグレンジャー(マット・デイモン)や建築家キャンベル(ビル・マーレイ)などのメンバーを集め、ヨーロッパ各地を奔走。だが、劣勢を強いられて自暴自棄になったナチスや、妨害しようとするソ連軍が彼らの前に立ちはだかる。

 

 

 

50点

 

 

 

「良いところはあるのに色々残念な映画」だと思いましたよ。

 

個人的にダメだった理由はハッキリしてます。

まず、映画を通してずーっと気になってたのが、敵があまり強そうに見えないこと。つまり、主人公達が難易度の高いミッションに挑戦しているように見えない。

史実だから仕方ない部分もあるのですが、彼らは結局「戦勝国側の人間」であるわけですよね。いくらストークス(ジョージ・クルーニー)が「我々は成功を望まれている部隊ではない」的な事を意味ありげに言ったところで「ふーん。そうなの。ホジホジ」としか思えなかったです。

 

典型的な例が、ドナルド(ヒュー・ボビネル)が教会で殺されてしまった後、ストークスが仲間達を集め、そこで「お前はアメリカに帰ったほうが良い」と語るシーンがあります。

あれ、本当に蛇足。仲間達の結束を示すつもりのシーンなのかもしれないですけど、「つまり、いざとなれば君達には生きて帰れる事が保障されている場所があるんだよね」と強烈に冷めました。

 

その他にも実際の戦闘シーンは殆ど無いし(実は撃ってたのは少年でしたーって何じゃそのオチ)、「ここはゴーストタウンなの?」と思えるほど街は静まり返っているし、そのくせキャンプ地の軍医のテントには大量の負傷者が運び込まれてるし。「いやいや、お前らどこで負傷したんや!」と小声で突っ込んだのはここだけの話。

 

 

あと、音楽の使い方が猛烈にダサい。

「ここはちょっとコミカルなシーンだよ」「シリアスなシーンかもね」「テンション上がるシーン!」とシーンの挿入時に決まりきったテーマを使い回し。

最近見た映画の中では類を見ないぐらい、音楽の使い方はどうかしていると思いましたね。

 

 

それと、全部見終わった後に改めて感じたのは「この主人公たちは正しすぎないか?」ということ。

彼らは「文化をより多くの人に共有してもらう、後世に残していくために戦場における美術品守る」というのがお題目な訳ですよ。

でもいくら戦勝国側といっても、自分たちは一切手を汚す事無くミッションを完遂するという描き方はどうなのかと思う。

例えば、上にも書きましたけど「自分たちの命を狙っていたのは実は少年でした。でも子供に罪はないから殺さない!」とか「道端に倒れていた負傷兵さえ我々は守るんです」とか「ヒトラーはなんでもかんでも独り占めして許せないやつだよね。でも俺らの国ではユダヤ人も受け入れてるんだぜ」とかね。

細かい描写に込められているメッセージがいちいち不快でしたよ。

 

最後のロシア軍が迫ってくるというシーンなんて「今度こそ戦闘シーンが見えるのか!」と淡い期待を抱いていたら、なんと遭遇することもなく国旗を掲げて撤収とか。というか一刻を争う事態なのに国旗を準備する余裕はあるんかい!と最後まで残念な映画でしたよ。

 

結局ストークスの7人の部隊から2人の犠牲者が出るわけですけど、まあハッキリ言えば2人とも自分たちがマヌケだから悪いんであってね。特に2人目なんて「お前緊張感無さすぎだろ!」としか言えない。

 

この映画は「後世のため、万人のため」を思って利他的な行動をとる人物達が主人公な訳ですけど、結果として「自分達の価値観を万人に押し付ける」事になってると思いますよ。

それは主人公達が終始善人然として振舞う事もそうだし、実際の戦闘シーンを描く事無く自分達の加害者性は棚に上げている点もそうです。

 

アバンタイトルが終わって、ストークスが仲間を集めていくシーンは音楽の効果も相まってすごくテンションが上がったんですよ。

というか、戦闘の素人達がグループを組んで戦場における崇高なミッションに挑む、凄く面白くなりそうなプロットじゃないですか。

その割に一致団結して何かに挑むシーンは殆どない(最後に滑車押してたぐらいか)し、メンバーの死は仲間に共有され辛い描き方だし、メッセージの不快さも相まって残念な映画だなあと。

 

個人的には、下手というよりも嫌いな映画ですね。