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『007 スペクター』

映画


映画『007 スペクター』予告2 2015年12月4日公開 - YouTube

 

あらすじ

ボンド(ダニエル・クレイグ)は、少年時代の思い出が詰まった生家“スカイフォール”で焼け残った写真を受け取る。彼はM(レイフ・ファインズ)が止めるのも無視して、その写真の謎を解き明かすため単身メキシコとローマを訪れる。死んだ犯罪者の妻ルチア(モニカ・ベルッチ)と滞在先で巡り合ったボンドは、悪の組織スペクターの存在を確信する。

 

 

 

80点

 

 

 

(まえがき)

私はダニエル・クレイグ登場以降の007シリーズをこよなく愛していましてね。

『カジノロワイヤル』はトランプをモチーフにしたOP。私が知る限り最も魅力的で美しいボンドガールだと思うヴェスパー(エヴァ・グリーン)が出てくるシーンはもれなく100点(個人的な女性の趣味)。知性と狂気を兼ね備えたル・シッフル(マッツ・ミケルセン)と対峙するカジノ。

今思い返しても1つ1つのシーンを鮮明に思い出せるほど、大好きな作品の一つ。

 

そして前作の『スカイフォール』。

多くを語るまでも無い、圧倒的な画面作りの美しさとダニエル・クレイグならではの重厚なアクション。高層ビルでのスナイパーとの息をのむ対決。一転して煌びやかさに溢れる(それでいて不気味さを兼ね備えた)マカオ。一歩間違えればもう一人の自分の姿であったかもしれないシルヴァ(ハビエル・バルデム)の存在感。そして、母のように慕いながら命を守れなかったM(ジュディ・デンチ)・・。

宇多丸師匠が「全編を通して薄ーく死の香りが漂う」と評していましたが、まさにその死の香りと画面作りの美しさのバランスが絶妙で、こちらはカジノロワイヤル以上に好きな作品でございます。

 

以上、ここまでまえがき。

(もう一作あった気もするけど、まあ弘法にも筆の誤りって言うしね) 

 

 

で、今回の『スペクター』ですが・・

 

 

「クレイグ・ホンドの総集編!」

 

まずはアバンタイトル におけるメキシコの「死者の日」の祭りの圧倒的なスケール感。そして予告編でも度々流れる「あのビルのシーンがいきなり!」と息つく間もなく、ヘリコプターでのアクション。

そして一格闘を終えた後、涼しい顔でシャツのカフをまくり夕暮れのメキシコシティへと消えていくボンド・・

もう「やっと逢えたね・・」と遠距離恋愛の恋人ばりにテンションMAX!ですよ。

 

更に続く、懐かしのガンバレル・シークエンス(覚えたての知識)からのオープニングでは、『カジノロワイヤル』以降の作品の登場人物が描かれていて。。ヴェスパー、ル・シッフル、シルヴァ・・「やっと逢えたね・・がまた出てきたー!」とうっすら涙していたのはここだけの話。

 

このサムスミスによるOPテーマも賛否両論あるようですが、私は好き。


Sam Smith - Writing's On The Wall (from Spectre ...

 

(まあ前作のアデルが素晴らしすぎたよね)

 

007シリーズはこのアバンタイトルからOPテーマまでが1つのウリなわけですが、「お約束を守りつつ、過去作へのオマージュも存分に散りばめる」だけでなく「ダニエルクレイグの肉体的特性と本作品のスケール」を融合させた見事なものだったと思いますよ。

 

 

ただ続く本編がここまでの期待値に相応しい作品かというと、それはまた別のお話で。

 

いや好きなシーンも沢山あるんですよ。

「殺しのライセンスは同時に殺さないライセンスでもあるんだ」的な台詞や、スペクターの集会からのカーチェイスとか、電車内でのマドレーヌ(レア・セドゥー)は全てが超魅力的だったし、オーベルハウザー(クリストフ・ヴァルツ)の如何にも彼らしい拷問の方法も全部好き!

なんですが・・

 

 

やっぱり「さすがに詰め込みすぎじゃないかなあ」というのが正直な感想。

物語上必然的な流れとしてのシーンというよりも、見せ場を作るためのシーンが多すぎるというか。

 

まず、マドレーヌの勤める診療所をボンドが尋ねていくところから始まる一連のシーンは、女王陛下の007オマージュがやりたいのはわかるけど腑に落ちないですよね。

ボンドのプロペラ機が操縦不能に陥っているのにわざわざその方向へ車を走らせるとか馬鹿なの?

ボンドがヒンクス(デビット・バウティスタ)の死を確認しないのもおかしいと思うし、Q(ベン・ウィショー)のロープウェイのくだりも期待した割に「なんじゃそれ!」ってオチ。

 

そして終盤はもう、ドンガラガッチャンの繰り返しで爆発に次ぐ爆発。

言ってみれば「予算を使い切るために年度末になると道路工事が頻発する様子」を見ているようで、ちょっと食傷気味になりましたよ。

マドレーヌが急に単独行動を始めるのも意味不明だし、だからその後の展開も「そりゃそうなるよ」としか思えない。

 

オーベルハウザーがボンドを苦しめる(殺す)事にあれだけ執着する理由も物語の推進力としては弱いんじゃないかなあと思いました。

 

 

サム・メンデスのインタビューを読んでると「スカイフォールにさよならを言う必要があった」と言ってたりして、その心意気や良しだと思うんですよ。

情報社会をテーマにしたり、人と人との繋がりを重んじていたり、またボンドガールが1人も無駄死にしないのも個人的には非常に好感が持てたし。

 

ただ、その新たな挑戦と過去作へのオマージュ、そして繰り返される大爆発に代表されるど派手なシーン。

色んな事に手を出した結果、スカイフォールでは感じられた絶妙なバランスや映画としての美しさも失われてしまった気がします。

 

クレイグボンドを愛する身としては、「文句なしに100点!キリッ」と言いたいところだったんですが。。

 

ただ身体を張ったアクションを含めダニエル・クレイグには心からありがとうと言いたいし、彼が続投するか否かに関わらず、私は007シリーズが続く限りこれからも劇場で見続けると思いますよ!