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『スティーブ・ジョブズ』

映画


映画『スティーブ・ジョブズ』

 

あらすじ

1984年、アップル社の新製品発表会本番を40分後に控え、スティーブ・ジョブズマイケル・ファスベンダー)は部下のアンディ(マイケル・スタールバーグ)ともめている。今回ジョブズはどうしてもMacintoshに「ハロー」とあいさつさせたかったが、当の主役は沈黙したままだ。マーケティング担当者のジョアンナ(ケイト・ウィンスレット)は諦めるよう説得するが……。

 

 

 

60点

 

 

 

アップル製品と私

今の20代半ば以上の方なら覚えていると思うのですが、今でこそiphoneipadなど広く普及しているアップルの端末も、その先陣を切ったとも言うべきipodを初めて使用した時は衝撃でした。指先一つで自由自在の操作性。ポケットに入れても重みや厚みを全く感じさせないコンパクトさ。スタイリッシュな外見。そしてこんな薄っぺらな端末で何百という曲を持ち運べるという事実。

特に初代のipod nanoが発売された時は大いに話題にもなり、発売直後は品薄な状態が続きました。

 

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初代は白か黒しか無かったんだぜい。

 

(全く個人的な思い出なんですが、この発売の一ヵ月後が私の2○回目誕生日で。当時付き合っていた彼女が全くのサプライズipod nanoをプレゼントしてくれたのです。しかも私がCMを見て「これ欲しいなあ」と何気なく呟いた事を覚えてくれていて(彼女に指摘されるまで自分でも忘れてたほど)、仕事の合間を縫って家電量販店を行脚して貴重な一つを手に入れてくれたという感動秘話

 

 

スティーブ・ジョブズの印象

てなわけでアップルの製品自体にはそれなりに思い入れがあるし、今見ても特にデザイン的に魅力的な製品が多いとは思います。でもアップルという会社そのものやスティーブ・ジョブズという人物に好印象を抱いているかというとそうでもなく・・。

もちろん、偉大なCEOである事は間違いないと思いますよ。でも工場労働者の環境の劣悪さとか、技術の互換性の低さとか、独裁的ともいえるワンマンぶりとか、負の側面も少なくないわけですよね。

 

 

・この映画に関して

なんというか、良くも悪くも想像してたのと違う作品でした。ジョブズの功績を強調するのではなく、むしろ多くの時間で彼の人間的に欠落している点を描いているという。まあ一言で言えば「絶対こんな上司の下では働きたくないな・・」と思いましたよ。

 

それに、やっぱり人間としてのジョブズは到底好きになれない。別にワンマンである事がいけないと言うつもりはありませんよ。トップに立つ者、時には厳しい決断も必要でしょう。ただ職種や立場に関係なく、今の自分があるのは様々な人との出会いや支えがあったからこそだという謙虚さは忘れてはいけないと思うんですよね。そこは人間の基本。自分が周囲の人々にしてきた仕打ちって、巡り巡って結局は自分に返ってくるんですよ。いい歳してそんな事もわからないジョブズは軋轢を生んで当然だと思うし、正直言って気分のいい話では無かったですね。

(このノーベル賞学者中村修二 も同じ理由で反吐が出るほど嫌いだぜ)

 

 

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経年変化と共にジョブズに似てくる、マイケル・ファスベンダーは適役。次々と長い台詞をこなした演技力も含めて素晴らしかったですが。

 

 

あと、個人的にエンディングがすごく不満。

 

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プレゼン直前に娘(一応ね)のリサとお互い本音をぶつけ合うが、収集がつかなくなり屋上まで追いかけていくジョブズ。痺れを切らしたジョアンナがジョブズを迎えに行き、早く登壇するように促すがリサが首肯するまでこの場を離れないというジョブズ。結局リサは父でもあるジョブズのプレゼンを舞台袖から見ることになるんですが・・。

 

ここで大観衆の前に姿を現したジョブズが、いつまでたってもリサの方を向いて愛嬌を振りまいてるんですよ。おかしいでしょ。リサ越しの視点で、ジョブズをぼやかして描いているのはいいとしても、そこは「人間性はともかく仕事が出来る父」の姿に戻ったジョブズを描くべきなんじゃないですかね。

 

ジョブズの人間的成長を描きたいのであれば、舞台袖で言葉を交わした後名残惜しそうにその場を立ち去っていく後姿で〆るとか、他にもやりようがあると思う。そもそも、ジョブズはあれほどプレゼンに拘りを見せていたじゃないですか。不適当だし無駄に湿っぽいラストだと思いましたよ。

 

なんだか批判的なことばかり書いちゃいましたが、昔のコンピューターや初代iMacが出てきた時はワクワクしたし(初代iMacのフォルムはほんと斬新ですな)ジョブズのプレゼンに観衆が熱狂する様子は印象的だったし(マルゴーの55とか飲んでみたいぜ)、長い台詞を覚えて演じた役者の皆さんはお疲れ様とか良い所も色々とありました。全てが全て史実ではないとしても、ジョブズにこういう側面があったという事は勉強になったし。

 

私の周りにはジョブズ信者がいないので、ジョブズのファンがこの作品を見たらどう思うか、ちょっと聞いてみたいですねえ。