『キャロル』


映画『キャロル』予告編 90秒ver

 

あらすじ

1952年のニューヨーク。デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探すキャロル(ケイト・ブランシェット)に応対する。優雅で気品に満ちた美しさを誇るも、謎めいたムードもある彼女に魅了されたテレーズ。彼女にクリスマスカードを送ったのを契機に、二人は会っては話をする仲になる。娘の親権をめぐって離婚訴訟中の夫と争うキャロルと恋人からの求婚に思い悩むテレーズ。そんな中、彼女たちは旅行に出掛けるが……。

 

 

 

80点

 

 

 

「たまむすび」内での町山智浩さんの紹介を聞いてからずーっと見に行きたかった映画。ただそれ以上に原作小説が広く知れ渡った過程や、原作者のパトリシア・ハイスミスさんにも興味が湧きまして。同名小説の原作を読み終えてから見に行って来ました。

 

まあ「キャロルをケイト・ブランシェットが演じたら、はまり役だよなあ」というのは分かるんですが、予想外に素晴らしい点がたくさんありました。

とにかく、デパートの描写、家具、服飾に至るまで当時の再現性が素晴らしかった。例えばテレーズが登場した時は少し違和感があったんですよ。もっと若い感じを予想してた。ルーニー・マーラさんは良い女優だけど、原作の設定からすれば年齢的には無理がある配役じゃないですか。

 

ところが、このテレーズの存在感が抜群。髪形、ニットキャップ・マフラーの小物とか、パジャマに至るまでとにかく身に着けているものが可愛らしい。

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 ストーリーとか関係なく最も好きだったシーンを2つ。このテレーズの小物使いの可愛らしさ、どうよ(抱かれてもいい)。ちゃんとクリスマスをも意識した色使い。恋人役のリチャードの着こなしも悪くないぜ。

 

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左の写真でテレーズが着ているパジャマも可愛かったし、アビー(サラ・ポールソン)のこのジャケットもとても良かった。イイナー。キャロルの存在感が抜群なのは置いといて(まあケイト・ブランシェットだしねえ)むしろそれ以外の登場人物の雰囲気に魅了されました。

 

それに2人が運命の出会いを果たすデパートの人形売り場のクオリティも素晴らしくて。

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町山さんのポッドキャストを聞きなおすと「当時は大量生産の人形なんてない→1体1体手作りで作られた人形を再現している」と説明されていて、なるほどな~と。確かにこの人形はとても印象的だったんですよね。ホテルやキャロルの自宅においても印象的な家具や食器の描写に至るまで細かい点を徹底的に拘ったところが、映像作品ならではの重厚さを醸し出していると思いました。

 

原作との違いといえば大きく改変されている点がいくつかあるのですが、例えばテレーズの職業。今作では写真家の卵という扱いですが、これも「テレーズから見た、キャロルの今しかない輝き」を切り取る役目を果たしていたし、後々自分が撮った写真を見て「今は離れ離れになってしまったキャロルに思いを馳せる」という意味でも、ナイスな改変でしたな。

 

数少ない不満としては、キャロルとテレーズの関係を引き裂く事になるアイツが分かりやすく登場しすぎとかキャロルと再開するまでにテレーズが1人で苦しむ時間が短すぎ(原作はテレーズが1人であてもなく彷徨い、長く苦しい時間を経て決断するからこそ結末に感動する)とかあるにはあります。ただそれ以上に原作とは違った映像作品ならではの魅力に溢れているし、時代の特徴をよくぞ再現したと思いますよ。

 

触れておかなければならないのはキャロルの選択。原作ではキャロルと夫ハージによる娘リンディの親権を巡るやり取りが詳細には記載されていませんが(キャロルがハージ側の要求をはねつけたとはあるが)、今作ではキャロルが自分の同性愛を認めた上でハージにキッパリと面会権は確保するように要求する。これは長らく差別と偏見に苦しんできたパトリシア・ハイスミスさんに対するとても誠実なアンサーだったのではないでしょうか。

 

というわけで原作とはまた違った、映像作品ならでは現代ならではの魅力に溢れた作品で大変楽しませていただきました。素晴らしかったと思います。

 

あ、最後にこれだけは言わせてほしい。

 

 

 

 

ケイト・ブランシェットの背中ゴツすぎワロタ