読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『ちはやふる -下の句-』

f:id:sei1ies:20160502180102j:plain

 

あらすじ

高校で再会した幼なじみの太一(野村周平)と一緒に競技かるた部を作った千早(広瀬すず)は、創部1年にして東京都大会優勝を果たす。自分をかるたに導いてくれた新(真剣佑)に優勝報告をした際、新の衝撃的な告白に動揺する千早だったが、全国大会のために仲間たちと練習に打ちこむ。そんな折、千早は同い年で日本一となった若宮詩暢(松岡茉優)のことを知り……。

 

 

 

75点

 

 

 

上の句が「予想外に良かった拾い物」な良作だったわけですが、それを受けての下の句は当然こちらの期待値も上がっている状態。「大外れは無いだろう」と分かってはいるものの、ちょっと不安でした。

開始10分ぐらいは、その嫌な予感が的中してしまうんじゃないかという出来。千早と新の有り得ない再会の仕方、土手を転げ落ちてからの「会いたかったよおおお」とか心底勘弁してくれと思ったし、新の実家で千早と太一が新の祖父の死を知るシーンのワザとらしい演出。 

やっぱり「上の句は出来すぎだったよねえ・・」と思ってたんですが、ところがどっこいトータルでは上の句に負けず劣らず楽しかった!(すげー笑ったし面白かった)

 

 

簡単にまとめると上の句は「千早のかるたにかける情熱(と美貌)に惹かれて集まった仲間達が、かるたを通じて成長する」物語だったのに対し、下の句は「成長した仲間達の存在によって、千早や太一(や新)もまた大人になる」というお話。

この繋ぎ方が素晴らしいと思いました。

上の句では良い演技をしながら、かるたの面ではもう一つスポットライトが当たりきらなかった大江さんや机くんにもきっちり見せ場が用意されていてね。「みんな知らない間に成長したんだね・・ウンウン」というのが実感できて、彼らの姿を見るだけで感慨深いものがありましたよ(まあ一ヶ月ぐらいしか経ってないんだけどね)

 

f:id:sei1ies:20160502182810j:plain

特に上白石萌音さんは素晴らしかったですね。広瀬すずの華やかな部分を引き立てつつ、それでいて自らもきっちり存在感を示すという素晴らしい役どころ。この2作で大好きな女優さんになっちゃいました。

 

 

その他にも「ドSの須藤をそういう使い方してくるか!」というところ(強豪校の全国大会に賭ける意気込みも含めて)も感動したし、上の句では見られなかった「新が実際に他人とかるたを行うシーン」 にもグッときましたね。

 

f:id:sei1ies:20160502184015j:plain

新がちょっと足を斜めにして構えるのとか「お前はそういう感じでくるのかー」って、かるた未経験者も妙に納得。

 

 

役者といえば下の句から新しく登場する詩暢の松岡茉優さんも良かった。陽の千早と陰の詩暢という対比も良かったし、非常に美少女ながらも幼い部分を残す千早に対し、こちらはちょっとエロい感じを、いやらしくなく上手く醸し出していると思いましたね。

f:id:sei1ies:20160502185158j:plain

「パンツインって・・」って言われてましたけど、いやいや全然アリでしょ!

 

ただ、この手の役でいつも気になるのが「方言が不自然」なこと。芸能人輩出数の低い地域とかならまだ分かりますよ。関西弁なんてネイティブで話せる女優さん、たくさんいるじゃないですか。なんでわざわざ一から教えないといけない人をキャスティングするんですかねえ。

せっかく競技かるたに対する描写が丁寧で誠実だっただけに、ここは凄く雑音になった部分でした。

 

 

もう1つ残念だったのがラストの新が発するメッセージ。

新が詩暢に対して「俺らのかるたの世界をより豊かにしてくれるのは、千早達の方じゃないか」って事を言うんですが。この直前に新が原田先生から「君がかるたを続ける理由は1つじゃなくていいじゃないか」ってな事を言われてるんですよ。なら新も新で、詩暢のやり方も尊重してあげるべきじゃないのかなあと。

 

そもそも詩暢が1人であれだけの強さを維持するには、彼女にしか分からない苦労や葛藤も沢山あるはずで、そこも含めて描写するべきだと思う。その上で、君のやり方は分かるけど皆でやればもっと楽しいよ、と話を運ぶなら分かる。

これで千早が仲間との繋がりに目覚めたぐらいの事で詩暢に勝っちゃったらどうしようとか真剣に心配しながら見てたら、そこまではいかなくて一安心。

ただ、ライバルとしての詩暢の描き方にはまだまだ工夫の余地が残されていると思いましたよ(キャラ的な存在感が素晴らしいだけに勿体無い)

 

 

まあ文句も書いちゃいましたけど、漫画原作、二部作と昨今ありがちな邦画のフォーマットですが、上の句、下の句どちらも文句なしの良作だと思います。それぞれ異なったテーマで描ききったのも素晴らしいし、メンバーの個性の生かし方、競技かるたに打ち込む者の熱意、そして時折織り込むユーモアのセンスと、バランスが良くてすごく楽しめました。「もっと見ていたい」とこれほど思った作品は久々かも。

 

めでたく続編の製作も決まったということで、またみんなに会える日を今から楽しみに待ちたいと思います!