『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』

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あらすじ

これまで政府に目の上のたんこぶ扱いされてきた映画監督のマイケル・ムーアは、ある日、アメリカ国防総省のお偉方たちにある相談を持ち掛けられる。彼らの必死の訴えに心を動かされた彼は、国防総省に代わり自分が侵略者として世界中に出動することを提案する。ムーアは空母ロナルド・レーガンに乗り込み、ヨーロッパへと向かう。

 

 

 

70点

 

 

 

ざっくり言うと「人々が暮らしやすい社会ってどういうもの?」という問題意識を元に、マイケル・ムーアが様々な国の特長をアメリカに持ち帰るべく取材しに行くというお話。

ある国は学校教育、ある国は労働者の働き方、ある国は受刑者の扱い・・とそれぞれ勉強になる事ばかりなんですが、登場する全ての国が大切にしているのは「少し心に余裕を持って他者の事を考えてみよう」ということ。

 

これは実体験も含めて思うのですが「あの人には怒られた記憶しかないなあ」という厳しい上司でも、「この人は真剣に自分の事を考えてくれている」と感じられたり、ふとした言動などに「自分の事をよく観察してくれている」というのが感じられると「よし、この人のために頑張ってみよう」と思えるじゃないですか。

逆に、耳障りの良い事を言う上司でも「よくよく聞いてみると、オマエ自分の保身しか考えてないじゃん」と思う人に対しては、表面上はともかく心の底では軽蔑の念しか抱けないわけでねこういうのは部下は敏感に感じ取ってます)。

人の本当の優しさって、要はそういう事だと思うんです。

 

それは上司と部下だけでなく、大きく言えば「国家と国民のあり方」にも繋がっていくと思うんですよ。人が一番傷つくのは、無視されたり排除される事ではないでしょうか。

つまり国にとっての大きな課題の1つは、経済的に困窮している人、そのせいで思うような教育を受けられない子供達、ドラッグなど犯罪に手を染めてしまった人、長年弱い立場に押し留められてきた黒人や女性など、そういう人達を如何に社会に包摂していくかということ。

 

 

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印象的だったのが、最後に登場したアイスランドの女性CEOの言葉。マイケル・ムーアが「アメリカに対して言いたいことはある?(ぶっちゃけちゃって良いよ、ただし二分間で)」と問うたところ「お金を貰ってもアメリカには住みたくない。経済的に困窮しているような人々を放置していて、平気だなんて信じられない。(同じ国の国民でしょ?)」てな事を言うんですが、これも彼女達がCEOへと上り詰めていく過程で「他人への行いは巡り巡って自分に返ってくる」という事を体験しているからだと思うんですよね。

 

またフランスの小学校の給食の豪華さや、テーブルマナーも含めて食文化を教える教育も素晴らしい。子供達は将来の消費者になるわけだから、自国の産業を育てていく上でも食育はほんとに大事だと思います。さすが農業大国フランス。

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にしてもこんなのホントに給食で出てくるのかよ。。

 

フランスと言えば性行為の授業も素敵だった。

初体験は誰にとっても一生心に残るものになります。相手を思いやり、してほしい事をよく聞いてあげましょう

こういうのを先生が生徒と向き合って教えてあげるのはとても大事だと思う。自分が学生の頃なんて、性教育は腫れ物に触れるような扱いだったし、コンドームの正しい使い方も先に経験を済ませた友達から教えてもらうような状況。良くないよね、ニッポン。

 

もちろん、各国の良い所だけを寄せ集めた作品であることは百も承知ですよ。

フランスやドイツに対しては「近年問題になっている難民に対する扱いについてどう思うの?」とか、「イタリアで実際にあんな働き方が出来る人って全体の何%いるの?(そもそも高失業率の国だし)」とか疑問に思う点も沢山あった。

でもこの作品を見る意義は自分の所属するコミュニティや国のあり方について再考させられる事にあると思いました。

 

アメリカと関係の深い国に住む日本人だからこそ、色々と考えさせられる作品ではないでしょうか。