『クリーピー 偽りの隣人』

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あらすじ:刑事から犯罪心理学者に転身した高倉(西島秀俊)はある日、以前の同僚野上(東出昌大)から6年前の一家失踪事件の分析を頼まれる。だが、たった一人の生存者である長女の早紀(川口春奈)の記憶の糸をたぐっても、依然事件の真相は謎に包まれていた。一方、高倉が妻(竹内結子)と一緒に転居した先の隣人は、どこか捉えどころがなく……。

 

 

 

90点

 

 

 

打ちのめされました・・(めちゃくちゃ面白かったけど)

 

原作未読でしたが、予告編を見ると「隣家の父親が大きな鍵を握る人物なんだろうなあ」というのは容易に予想出来るじゃないですか。ところがその問題人物、西野(香川照之)がとにかくぶっ飛びすぎていて・・

 

この映画の素晴らしさ(誉めていいのかどうか分からないけど)は西野の人物描写と香川照之さんの演技に尽きると思います。

「この真犯人が西野なんだろう」という日野市の未解決事件が明らかになった時点で「こういう感じで話が進んでいくんだろうなあ」という大体の想像がつくんですよ。ところがそれを遥かに上回る西野の極悪非道っぷり(そんなに甘いタマじゃなかった)

 

犬や自分の娘(娘じゃないけど)を出汁に隣人と仲良くなっといてからの~って、この先はネタバレになっちゃうので言えないんですが、もうほんとにどうしようもないクズで、でも許せないというよりもお願いだから私とは一生関わらないでと願わずにはいられないタイプのクズ。

 

恐怖で他人を支配し、自らは手を汚す事無く家族同士で殺し合いをさせる、多くの人が北九州監禁殺人事件を連想すると思いますけど、実際に有り得る事だから余計に後味が悪い。ただ残念ながら、常人が考え付かないような事を平気で出来てしまう神経の人間も一定数存在するのは確かだと思う(捕まってないだけで、今この瞬間も西野と同じような事をしている人間は間違いなくいるでしょう)

 

人間住む場所は選べても隣人は選べないので、ヤバイと思ったら深く関わらない、そしてとにかく逃げようと誓いましたよ。

 

主人公、高倉の奥さん康子を演じた竹内結子さんも良かった。

良い人だからこそ、西野を疑ってしまった事に負い目を感じて必要以上に親切にしてしまうあたり気持ちは凄く分かるし(あれはシチューじゃなくてカレーなのでは?と思ったけど)、その弱みに付け込まれて段々と西野に心を侵されていく様子、そして最後の言葉にならない慟哭

 

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もうここは、ほんと辛くて悲しくてやるせなくて、胸を掻き毟られるような気持ちになりました・・(今年見る映画の中でもベストエンディングの1つでしょう)

 

 

ちょっと不満だったのは「いくらなんでも警察が無能すぎるんじゃね?」ってこと。

野上(東出昌大)が一人で西野宅を訪ねていくのはまだ仕方ないとしても(それでもいきなり「警察でーす」って素性明かすか?)、 高倉と谷本(笹野高史)があの期に及んで互いに単独行動っておかしいでしょう。まず高倉家で康子の安否を確認する→それから2人で西野家に乗り込むで良いじゃないですか。せめて西野の危険度に気づいてる高倉は谷本を止めろよと。

警察と言えば、高倉と西野が揉め合った時に来たパトカーも、あれ結局何だったんですかね。「高倉さん、私まだ警察呼んでません」って言うから警察内にも西野の協力者がいるのか?(このオッサン一体何者やねん・・)と思いきや、そういう描写は無かったし。

 

他にも少し気になる点があるにはあったけど(西野家のあの設備はどうやって築いたの?とか、高倉は西野が怪しいと気づいた時点でせめて奥さんは実家に帰すとかしろよとか)それを補って余りある西野の圧倒的なリアリティとストーリーの面白さ

万人に自信を持ってオススメできる映画じゃないのは確かです。最後まで救いは無いし。でも決して他人事で済む話じゃないだけに「見たくなくても見るべき映画」なのは間違いないのじゃないかしらん。私も二度とは見たくないタイプの作品だけど、それでも今は見て良かったと、心の底から思っております。