愛国心って美味しいの?

楽しかった週末も終わりかとネットサーフィンしてたらこんな記事が目に入ったので、寝る前に自分の思う事を少し。

 

それにしても、この人は首相時代から他人の神経を逆撫でするのが上手だよね。

 

私は国歌も国旗も否定しないし嫌いでもないけれど、何かある度に「国歌を歌え」「国旗を掲揚しろ」と強制する連中は人間の心理が全く分かってないなあとは思う。こういう連中が決まって口にするのが「国歌」や「国旗」を誇りに思う事は「愛国心」に繋がるという論法だ。

 

バカじゃないのか?

 

実感として日本人である事を誇りに感じるのはどんな時か。

私はスポーツ観戦が好きだ。だから世界で活躍し評価されている日本人を見ると「同じ日本人である」ことを嬉しく思う。子供の頃は野茂英雄中田英寿がヒーローだった。彼らが試合で活躍し、地元のファンから認められ喝采を浴びている様子を見るのがたまらなく幸せだった。最近ならラグビーのW杯で日本代表が南アフリカを倒した試合なんかも、それに近い感情を抱いた。

 

あるいは日本製品の高評価なんかも愛国心に繋がるかもしれない。

外国で日本の家電が売れている。「メードインジャパンは品質が良くて壊れにくいから」等と外国の人々が評価してくれる。自分の家族や知人が会社に携わっていたりすれば、嬉しさや誇りにも拍車がかかるだろう。

 

もっと身近な対象は生活の中にある。

「自分はこの国に大切にされている」「社会から必要とされている」

そういう実感が日々得られると、自分の生まれた国や周りの人々を大切に思う気持ちは自然と芽生えるのではないか。

 

天然資源に乏しい日本は、人材こそ国の宝だとして(一昔前までは)教育に力を入れてきた。優秀なエンジニアや経営者が育ち、日本の高度成長に貢献した。終身雇用という制度によって分厚い中間層が生まれた。彼らは日々の生活を少しだけ贅沢に過ごした。真面目に働いていさえすればクビになる事は無かったし、給料は年齢と共に右肩上がりだ。これほど安心してお金を使える環境は無い。

結果として、国内でモノが売れる→企業は更に良い物を作ろうとする→対外的な競争力もつく、という好循環になった。

 

スポーツにしてもそうだが、人材を育てるにはお金と時間がかかる。その為には国の理解と積極的な協力が不可欠だ。そして人材を確保する為には、今の日本が直面する少子高齢化という現実は非常に都合が悪い。

 

まず若者が安心して子育て出来る環境を整える必要がある。保育所や保育士の増加は避けて通れないし、女性の社会復帰をどう支えるかという課題もある。そもそも非正規雇用の増加やワーキングプアの問題で、経済的に結婚出来ない若者も沢山いる。

教育の点でも格差社会は暗い影を落とす。経済的に進学を諦めなければならない子供たち。家計が苦しければ子供のアルバイトにも相当の時間が割かれる。奨学金なんて社会に出てもいないのに、いきなり借金を背負った状態からのスタートだ。親の年収と子供の学歴には相当の関連があるというデータも当然だろう。

子育て適齢期を過ぎると、今度は親の介護の問題がある。介護士も全く足りていない。最悪介護のために仕事を辞めなければいけない場合もある。

ハッキリ言ってどこから手を付けていいのか分からない状態だ。

 

賢明な人々は気づき始めている。これ以上先延ばし出来ない課題が沢山あること。それらの課題には、時間がかかるかもしれないけれど根本的な対策が必要であること。しかし国の協力が積極的には思えないこと。本気に見えないと言ってもいいかもしれない。

 

でも今権力を握っている連中は、そんな事より歌や旗を大切にすることにご執心だ。一方で「大声で国歌を歌え」と言ったかと思えば「何歳まで生きるつもりだ」と平然と言ってのける閣僚もいる。そして、権利ばかり主張せずに義務を果たせと偉そうに要求してくる。

 

愛国心を抱けないのはお前が悪いと言うのであれば、私は悪者で大いに結構だ。でも愛国心の萌芽を妨げている原因は何なのだろう。少なくとも「国歌を大声で歌え」「国旗を愛でろ」そういう上から目線の薄っぺらい要求がその一因なのは確かだ。