『日本で一番悪い奴ら』

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あらすじ:柔道で鍛えた力を買われて、北海道警察の刑事になった諸星要一(綾野剛)。裏社会に入り込んでS(スパイ)をつくれという、敏腕刑事・村井の助言に従い、Sを率いて「正義の味方、悪を絶つ」の信念のもと規格外の捜査に乗り出す。こうして危険な捜査を続けていった諸星だったが……。

 

 

 

80点

 

 

 

私の高校時代の同級生に、警察学校に入り関西の某所で警官をしていた友人がいます。彼とは家が近い事もあって今でも飲みに行く仲なんですが、まあ彼から聞く警察官時代の話は壮絶で。(本人にとっちゃ笑い事じゃないんだけど)

この作品では多少脚色されているとは思いますが、警察の前近代的で閉鎖的で封建的な部分を上手に表現していると思ったり。

 

この作品の登場人物たちは「やり過ぎた為に消された」訳ですけど、警察内部の実態って今でも似たようなところがあると思う。恐らく警察側からすれば、マフィアや暴力団のような連中と対峙する為には綺麗事なんて言ってられないという言い分だろうし、こちらから見れば、市民の安全を守る立場の連中がこんな事で良いのかという話になる。

その理想と現実の狭間で翻弄され、恋人・友人・名誉・金・人間らしさ、何もかも失って一番馬鹿を見るのが主人公の諸星という何ともやりきれない展開。

 

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諸星に惹かれる人達は、彼の真っ直ぐさ故に彼の事を信用する。ところがその人柄が仇となり、暴走すると歯止めが利かない。何より彼は最後まで「自分は道警の名誉の為に正しい事をした」と信じ込んでいるのが、また切ないところ。本来は、市民の安全を守るための手段として存在するべき点数による評価がいつの間にか点数を稼ぐ事自体が自己目的化してしまうあたりも、警察の抱える問題点を上手く描いていると思いました。

 

もう一つこの作品を見て痛感したのは、どんなに欲に目がくらんでも現状が苦しくても、人間として踏み越えてはならない一線があるということ。

 

諸星が段々と裏社会に染まっていく中で、思わず「それは止めといた方が・・」と助言してあげたくなる分岐点が幾つか登場するが、深みにはまればはまるほど後戻りが出来ない。またそういうシーンで諸星が逡巡するんですよね。良心の呵責に耐えかねているのか、あるいは駄目だと分かっていながら自分を欺いているのか。

そして、あれほど周囲の人間がシャブに手を出す事に抵抗を示していた諸星が、最後は自分がシャブによって身の破滅を迎えましたとさ・・

 

 

もちろん諸星の行動は誉められた事ではない。しかし警視庁の意向を忖度して一線を踏み越えたり、おとり捜査に利用された挙句最後はトカゲの尻尾切りに合うなど、彼に同情するべき点が少なくないのも確か。中央集権の権化とも言える今の警察のあり方点数を上げた者勝ちというシステムの是非など考えさせられる部分も多い。面白おかしい展開や演出で観客を惹きつけつつ、きっちり問題提起をして作品を締めくくるあたり、さすが白石作品!でございました。

 

 

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北海道が舞台の作品という事で、「音尾くん!」byにょういずみにょうさん

良い役者になりましたなあ・・。

 

 

オシマイ