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『シン・ゴジラ』

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あらすじ:東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)が、海中に潜む謎の生物が事故を起こした可能性を指摘する。その後、海上に巨大不明生物が出現。さらには鎌倉に上陸し、街を破壊しながら突進していく。政府の緊急対策本部は自衛隊に対し防衛出動命令を下し、“ゴジラ”と名付けられた巨大不明生物に立ち向かうが……。

 

 

50点

 

 

「ゴッズィラ」なドヤ顔の石原さとみをここ1、2ヶ月の間に劇場で何度見ただろう。

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この予告編を見て以来、嫌な予感がしていたので全く期待していなかった。ただゴジラが出てくるシーンぐらいは楽しめるだろうと。

 

物語の挿入部分はワクワクしたんですよ。

「得体の知れない巨大生物が東京湾を移動する様子」がSNSで拡散したりニコ生(的)でコメントが連なっていく様子、トンネル内のPOV的描写も臨場感があって良かった。

ゴジラ東京湾から多摩川を遡上していくにつれ船や家屋が押し流されていくのは3.11を連想させるような描写があり、恐怖心を煽られた。

そしてようやく姿を現したゴジラはまさかの。。

個人的にあの風体は好きではないけれど、後の展開を考えてもここまでは非常によく練られていたと思う。

 

作品全体を通して、ゴジラが絡むシーンは全て良かった。構図もよく考えられていると思うし、樋口監督は特撮パートはやっぱり上手い。

 

一方でと言うべきかだからこそと言うべきか、ゴジラと関係の無い人間同士のやり取りのシーンが死ぬほど退屈だった。

序盤は組織の人物説明、やり取りがゴジラの接近と並行して進むため、まだ何とか見ていられる。

ところが人間ドラマが話のメインになると粗が浮き彫りに。1から10までイチイチ台詞で説明、無能なリーダーのせいで組織が混乱というご都合主義的展開。おまけに「御用学者」ってそういう意味じゃねえよ。

 

「強大な力を持つゴジラ」に対抗するために、人類の側も叡智を振り絞り全力でゴジラに立ち向かってこそ、結末のカタルシスに繋がるんじゃないですか?

 

ところが前述した「御用学者」はギャクみたいな描かれ方(しかもスベってる)、無能な政治家達は時間を浪費して非生産的な会議を延々と続けているだけ。ゴジラが再上陸した後も自衛隊は余りに無力で無策だし(自衛隊の軍事力を舐めてるのか?)私は途中から「ゴジラ頑張れ!こんな無能な連中は壊滅させてしまえ!」と思っていましたヨ。

 

ただ、役者への演技のつけ方が下手だとかご都合主義的な展開はまだいい。そのへんは見る前から覚悟していたし(まさかこんなに長いとは思わなかったけど)

 

不快さを増幅させているのは、時事問題風なテーマを絡めて、社会的意義を問うかのような作りにしているところ

そういう製作者の意図を否定するつもりは無いんです。でもそれなら、政治家や自衛隊の描き方にもっと気を配らないといけないでしょう。この映画を見る限りハッキリ言って、法律や手続きの煩雑さが問題である以前に「お前らが無能だから悪いんじゃん」としか思えない(こんな無能が国を動かしてるならやっぱり憲法でちゃんと縛りをかけとかないとね)

 

余計なものに手を出す前に、もっと脚本を煮詰めたらどうですかね?役者への演技のつけ方を見直したらどうですかね?お世辞にも完成度が高いとはいえない作品なのに、さも「私達も法律とか日米関係の事とか色々考えてるんですよー(みんなも一緒に考えてみよう)」げな作りにするのは、逃げだし不誠実な姿勢だと思いました。

 

特撮シーンはもれなく素晴らしい。だが時間的に短すぎる。人間ドラマの部分は製作側の描きたかった事はわかる。ただ意図がどうこうの以前に、そもそものクオリティが低すぎる。

テレビ屋映画が幅を利かせていた頃と比べ、邦画も良作の割合が増えてきたと思うんです。でも大作とされるものや、出演者が無駄に多くて豪華な作品ほど演出がおざなりな気がしてならない。そしてご多分に漏れず、本作もその系譜を継いでいると思う。

 

つい長々と書いちゃいましたけど、語りどころがたっぷりある映画なのは確かです。迫力あるゴジラの映像も含めて、劇場の大きなスクリーンで見てこその作品なのではないでしょうか。(私は合わなかったけど)

 

 

オシマイ