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『君の名は。』

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あらすじ:1,000年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。山々に囲まれた田舎町に住む女子高生の三葉は、町長である父の選挙運動や、家系の神社の風習などに鬱屈(うっくつ)していた。それゆえに都会への憧れを強く持っていたが、ある日彼女は自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する三葉。一方、東京在住の男子高校生・瀧も自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが……。

 

 

70点

 

 

お断りしておきますが、私はアニメというジャンルに全く興味がありません。今作も「ムービーウォッチメン」の課題作品になっていなければスルーしていたであろう一作。大ヒットしてるみたいだし周囲の人の評判も良いし、ちょっくら行ってきましたよっと。

 

まず感動したのは画のリアルさ。JR東のステッカーとか液晶画面の再現度とか凄くね?

最初は「また東京の人間が田舎者を小馬鹿にしたクソ作品か、けっ」と思ってたけど、画の美しさから生まれる自然風景の描写は見事。受け継がれる風習なども丁寧で誠実な描かれ方だったと思います。この舞台のモチーフになった諏訪湖が、ファンの間で聖地になっているというのは納得。私もちょっと行ってみたいと思ったもん(行かないけど)

 

物語は男女が入れ替わるという既に手垢が付きまくったテーマですけど、古臭く感じられないのには理由があると思う。それはSNSなどネットを介して知り合った男女が結婚するということも珍しくなくなった現代だからこそ、より普遍的なテーマとして多くの人の感動を誘ったのではないかと。まさにブログやスマホに残されたメッセージを通して入れ替わっている間の相手の行動に思いを馳せるという描写がありますが、上手く現代版にアップデートしたと思いますね。

 

というわけで印象に残るシーンも多かったし基本的には楽しめたのですが、やっぱりこの世界観には乗れない部分もある。もうこれは合う合わないの話だから仕方ないのだけど、簡単に言うとすごく漂白された世界じゃないですか。

 

特に気になったのは瀧の描写。三葉が「次に生まれ変わったら東京のイケメンになりたい!」と口走ったらそれがリアルに起こってしまうわけですけど、あまりに都合よすぎるイケメンじゃないですか。男前でこ洒落たイタリアンレストランでバイトしてるのに、彼女はおろか女友達がいる匂いすらしないし。憧れの先輩と上手く話せないのはまだしも、入れ替わるたびにおっ○い触ってよ。イケメンなのに高三で童貞なのかい?つか、お互い学校に2人ずつしか友達おらんのか?

 

あとね、クライマックスはさすがに長すぎだし露骨に感動させようとしすぎ。

時間ないんでしょ?急がないと。邂逅のためにカルデラをグルグルしてる場合じゃないから。瀧が口噛み酒を飲んだら、もう時間軸関係なく何でもありかよ。「お互い忘れないように名前を書こう」からの「すきだ」ってどっひゃー。

 

当初500人だった隕石の衝突による被害が100人に減ったとかいう結論ですけど、さやかとてっしーは都合よく生き残ってるように瀧と三葉の仲間達はことごとく肯定的に描かれ、しかも無条件に彼らに協力してくれる。一方で発電所を爆破したり町内無線を乗っ取ったりしたら、その後始末に追われる人達もいるわけですよね。その人は亡くなってもいいのかい?あれほど魅力的なキャラクターだったのに、おばあちゃんや四葉ちゃんはどうなったんだよ。

 

このように自分とその仲間(あるいは協力的な人)それ以外の人に対する無意識的な峻別が、私は「漂白された世界」だと思ったしご都合主義だと思いました。でも一定数感動する人がいる理由も理解できましたよ。途中までは楽しかったし。

ただ、今年を代表する一本とかそういう評価はどうなのでしょうかねえ。

 

 

オシマイ